2004年4月、旧「海洋科学技術センター」は、「独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)」として生まれ変わった。独立行政法人海洋研究開発機構では、地球環境変動を解明するために、さまざまな観測・予測研究、技術開発などをおこなっている。その中のひとつとして、自律航行が可能な無人探査機を研究開発しており、海洋研究に必要な次世代の海洋探査機として期待されている。現在、その自律型無人探査機である海洋ロボット「MR-X1」の運用をサポートするパソコンとして、ロジテックのカスタムPCが利用されている。今回は、なぜロジテックのカスタムPCが採用されたのか、その理由を探ってみる。
独立行政法人海洋研究開発機構
URL: http://www.jamstec.go.jp/
日本の海洋研究の中心地である独立行政法人海洋研究開発機構
同機構は、海洋の調査研究のために潜水船や探査機を複数保有している。6,500mまで潜航できる「しんかい6500」のような有人潜水調査船のほかに、 7,000mまで潜航できる「かいこう7000」のような無人探査機がある。無人探査機は、母船とつながったケーブルから電源の供給と遠隔操作を受ける「ROV(Remotely OperatedVehicle)」と、探査機自身が電源を搭載し、自律航行が可能な「AUV(Autonomous UnderwaterVehicle)」の2種類に分けられる。「かいこう7000」はROVに該当し、AUVには3,500mまで潜航できる深海巡航探査機「うらしま」のほか、試験運用中の海洋ロボット「MR-X1」などがある。
今回取材をした同機構 海洋工学センター 海洋技術研究開発プログラム自律型無人探査機技術研究グループは、このAUVのより高度な運用に向けて、燃料電池などの電源技術、海中での位置の確認技術、自律性を高める運動制御技術など深海探査機の要素技術を研究している。そして、試験運用中の海洋ロボット「MR-X1」の船上装置の一部としてロジテックのカスタムPCが利用されている。
与えられたシナリオで海洋を潜行できる自律型の海洋ロボット「MR-X1」
しかし、ロジテックのカスタムPC事業の強みは、このような製品バリエーションの豊富さやカスタム性の高さだけではない。顧客の要望と予算に応じて、これらのパーツをどのように組み合わせるのがベストなのかを提案できるノウハウを持っていることだ。20年以上、パソコン周辺機器を開発してきた経験に加え、エレコムグループの一員となったことで、ネットワークおよびI/Oデバイス分野のノウハウも充実し、サポートの幅も広がっている。
さらに、ロジテックは、長野県伊那市に自社工場を持っており、カスタムPCはここで高い品質管理のもと、1台ずつていねいに組み立てられている。また、恒温恒湿槽、振動試験装置、落下試験機などの試験設備を自社工場内に用意し、各種評価や試験を必要に応じておこなうことが可能で、コンシューマ市場よりも高い品質を求められる場合でも、顧客が十分に満足のいく製品を供給できる体制が整っている。
19インチラックマウント、信頼性と品質でロジテックのカスタムPCが選ばれた
探査機の潜航中に、船上パソコンにトラブルがあり、再起動に時間がかかると、その間に探査機の位置を母船側で捕捉できなくなる恐れがある。これを防ぐために緊急用のバックアップシステムが用意されているが、パソコン自体の信頼性が低く、トラブルが頻繁に発生するようであれば使用に不安がある。
そこで今回は、ラックマウントタイプであること以外に、トラブルを減らすために信頼性の高いパーツを使用している製品を選定することになった。船上で機器を使用する場合、船舶のエンジンによる微振動が常に装置に伝わり、機器に影響を与える。品質が悪いパーツだと基板のハンダなどが知らぬ間に外れる可能性もある。また、海上で使用するため作業室内のコンテナに装置が設置されているとはいえ、塩分の影響を多少なりとも受けることも考えられる。品質の高いパーツを使うことで、トラブルの回数を減らすことは運用面では重要だ。こうして、19インチラックにマウント可能であり、国産メーカーのマザーボードや電源装置が使用されているロジテックのカスタムPCが選ばれたのである。
長年のノウハウが、あらゆる条件に見合ったカスタムPCを作り出す
しかし、ロジテックのカスタムPC事業の強みは、このような製品バリエーションの豊富さやカスタム性の高さだけではない。顧客の要望と予算に応じて、これらのパーツをどのように組み合わせるのがベストなのかを提案できるノウハウを持っていることだ。20年以上、パソコン周辺機器を開発してきた経験に加え、エレコムグループの一員となったことで、ネットワークおよびI/Oデバイス分野のノウハウも充実し、サポートの幅も広がっている。
さらに、ロジテックは、長野県伊那市に自社工場を持っており、カスタムPCはここで高い品質管理のもと、1台ずつていねいに組み立てられている。また、恒温恒湿槽、振動試験装置、落下試験機などの試験設備を自社工場内に用意し、各種評価や試験を必要に応じておこなうことが可能で、コンシューマ市場よりも高い品質を求められる場合でも、顧客が十分に満足のいく製品を供給できる体制が整っている。
今後ますます重要度が増す海洋研究
海洋ロボットへの期待は大きい
海洋ロボットの性能向上に伴い、その運用をサポートするロジテックのカスタムPCにも、より高い信頼性が求められることになるだろう。
地震大国であり、陸上に資源をほとんど持たない日本にとって、地震研究や海洋資源の発掘のために海洋研究の重要度は今後さらに増すばかりである。将来、 MR-X1のような海洋ロボットが何台も深海を動き回り、ロボットアームを使って自由に作業することが期待されるに違いない。