ダイドードリンコ株式会社様は、1975年設立の飲料メーカーである。同社の特徴は、国内飲料の約8割が自動販売機(以下、自販機)を通じて販売されているということだ。
この度、ダイドードリンコ様では、日本初となる顔認証決済サービス「KAO-NE(カオーネ)」の取り扱いをスタートされた。
そして、その認証用インターフェースとしてエレコムグループ・ロジテックのタブレットPCが採用されている。
今回同社を訪れ、「KAO-NE」の特徴や発売に至る経緯、ロジテック製タブレットPCをお選びいただいたポイントなどについてうかがった。
企業ホームページ:https://www.dydo.co.jp/
自販機の開発に熱意を注ぐ
飲料メーカー ダイドードリンコ
「われわれは、自販機でイノベーションを起こすことを目指しています。一つひとつの自販機にかける熱意は他のメーカーさんとは全く違うと思う」と語る。実際に、地方なまりでしゃべる自販機、社長の声で激励される自販機、神社の神主さんからのメッセージが流れる自販機など、世間で話題になったユニークなものも多い。
究極に便利な自販機を目指した
「KAO-NE(カオーネ)」の開発
「開発がスタートしたのは、2018年です。最初のきっかけは『究極に便利な自販機』ってなんだろうというところからでした。自販機は近くにあって、冷たいものがすぐに買えるという便利なものですよね。それを突き詰めていけば、現金もいらないんじゃないか、手ぶらで、顔パスで買えたら面白いよねと考えたのがはじまりです」 そして、顔認証技術を持ついくつかの企業の中から、世界最高レベルの技術をもっていたNEC様の技術を採用することに決定。
「当時、顔認証と決済の両方をやっているのはNECさんだけでした。実際に和歌山県白浜町の空港やホテル、レストランなどで実証実験をされているということで視察に行き、実際に体験してみて『これなら安心できる』と確信しました(古門氏)」
顔認証決済サービス「KAO-NE」
NECの生体認証「Bio-IDiom(バイオイディオム)※1」の中核技術である顔認証技術を採用し、マスクをつけた状態での認証も可能。2021年4月26日より本展開を開始し、工場・オフィス・運動施設・病院をはじめ、さまざまな施設に2,000台の設置を目標としている。
「Bio-IDiom(バイオイディオム)」は、顔、虹彩、指紋・掌紋、指静脈、声、耳音響など、NECの生体認証の総称です。
世界トップクラスの技術や豊富な実績を活かし、ニーズに合わせて生体認証を使い分け、あるいは組み合わせることで、
「誰もが安心してデジタルを活用できる世界」を実現していきます。
NECの生体認証:https://jpn.nec.com/biometrics/
顔認証のインターフェースとして
エレコムのタブレットPCを採用
「エレコムさんは当社の顔認証プロジェクトでの採用実績がありました。元々パートナーとして仕事をしていたので、ダイドーさんにも紹介しやすかったというのはあります。あとは、バッテリーレスであったり、OSが自由に調整できたりといった、スペック的に我々の要求する基準を満たしていたことなどが採用のポイントになりました(NEC佐藤氏)」
タブレットPCのファームウェア
調整で認証速度を向上
「電子マネー決済の自販機がすでにありますから、それより便利でないと意味がないわけです。つまり、いかにすばやく認証してお客さまが商品を購入できるかというところで、さまざまな技術や工夫を盛り込みました(古門氏)」 「タブレットで顔の写真を撮影する時、通常の設定だと入ってくる光のバランスが悪くて認証に時間がかかりました。暗い所でも明るい所でもすばやく認証できるよう、エレコムさんにはファームウェアの調整で何度もやりとりをしながら最適な設定を探っていきました(菊山氏)」
そのかいあって、現在では認証のスピードは「早すぎるといわれるほど(古門氏)」になったという。早すぎると逆にお客さまが不安に感じることが予想されるため、その最適解を求め現在も微調整を続けているという。
実証実験で大きな反響
マスク認証も追加
(写真左より)
ダイドードリンコ株式会社
自販機営業企画部 機材開発グループ 参事 菊山氏、
アシスタントマネージャー 古門氏
日本電気株式会社
第二製造業ソリューション事業部
関西第二インテグレーション部 主任 佐藤氏
「社内でもこの自販機が売れるのかどうか懐疑的な声がありましたが、実証実験の反響が非常に大きく、本展開への弾みになりました」と振り返る古門氏。今年の本展開を迎え営業活動も本格化しているが、私物の持ち込みが制限される食品工場や企業の開発部門をはじめ、さまざまな引き合いが来ており、目標である2,000台設置達成への手ごたえを感じている。
また、今回の開発を通じて、エレコムと何度もファームウェアの微調整を行った菊山氏は、タブレット端末と自販機の未来に大きな可能性を感じていると語る。
「自販機とタブレットの融合は、今後いろんな世界で広がっていくと思います。指紋やQRコードなど、さまざまな情報を読み取るインターフェースとして、タブレットが使われるようになるのではないでしょうか。エレコムさんにも、さらなる機能の向上を期待したいですね」
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