飲食店などで、テーブルからタブレット端末のタッチパネルでオーダーするタイプの店舗が増えている。
「注文したいのに店員が来ない」といった不満もなくなるうえ、写真で選べるのでどんな料理かわかりやすいというメリットもある。
特にここ数年は、人手不足などのニーズを背景に、このセルフオーダーシステムは大きな躍進を遂げている。
その中にあって、業界No.1の導入実績を誇るのが、ワールドピーコム様の「メニウくん」である。
今回は、同社取締役の阿部氏とSOTS事業本部 生産購買部部長の堤氏を訪ね、セルフオーダーシステム事業の現状や今後の展開などについて伺った。
2000年の設立以来、SOTS(セルフオーダートータルシステム)事業を展開。国内№1のシェアを持つ「メニウくん」は4000店舗に端末12万台が導入されている。
URL: https://www.worldpicom.com/
4000店舗・12万台の導入実績を持つ自社開発端末
接しやすい環境であるため、堅牢性は大きなポイント。
特筆すべきは、「メニウくん」の端末は市販のタブレットPCではなく、自社開発したものであるということだ。
「初代の端末こそ民生品でしたが、2世代目からは自社開発の端末を使用しています。OSから自社で開発することで、どんなトラブルにも対応できますし、基本的なアーキテクチャは変わっていないので、端末が新しくなってもデータを引き継ぐことができるのもメリットです」と阿部取締役は語る。
現在の端末には、長年にわたる開発を通じてさまざまなノウハウが導入されている。その一つが、堅牢性である。タッチパネルはガラスではなく割れにくいアクリル板を採用。また寿司店では調理の時にミスト状に飛散するお酢が端末の樹脂を酸化させ、1年ほどで躯体が割れるということもあったことから、樹脂の原料の配合を変えることで酸化に強い躯体となっている。
ロジテックの技術が活かされているメニウくん関連機器
24時間365日体制で運用をサポート
全国から故障品が集まり、熟練のスタッフが修理作業を行う、メニウくん修理センター。端末は世代が変わるごとに部品が減るなど、修理はしやすくなっているという。
顧客の真のニーズをつかみ、メニューコンテンツを作成
セルフオーダーシステムの認知が一般に広がってきたのが2003年頃からだが、当時のニーズは「人件費削減」や「リピートオーダーの増加」「単価アップ」であったという。しかし、時代とともに飲食業界の事情も変化し、現在は「人手不足」が大きな導入の動機になっているという。「そもそも人を雇うことが大変になっているため、セルフオーダーシステムの導入で人員を減らしたいというお客様が多いですね。また、多言語化ができるためインバウンド需要に対応したいというお客様も多い」と語る阿部取締役。同時に、飲食店側では外国人従業員が増加していることもあり、多国語で表示ができる「メニウくん」は従業員教育がしやすいと好評だという。実際にメニューを開発するにあたっては、顧客からの聞き取りが大きな役割を果たす。
「同じ業態のお客様であっても、スピードを重視されるのか、全体の売上増を目的とされるのかなど、ニーズが大きく異なります。また、スクリーンセーバーに載せる画像で売上が大きく変わるなど、ご提案する要素も多く、ある意味コンサルティングをしているような感覚で対応させていただいています」と語る阿部取締役。メニューの作成は社内のデザイナーやエンジニアが担当するが、顧客企業側で作成できるツールも用意されている。
業界唯一! フリーレイアウトによる豊かな表現力
用途は飲食業界の外にも広がる
「自動車メーカーさんから、工場の部品発注にセルフオーダーシステムを使えないかというご相談をいただき、現在試験導入を進めています(堤部長)」
これまで必要な部品をカードや伝票で発注していたシステムを、セルフオーダーシステムを使えばスピーディーに効率よく発注することができるという。「大勢の人が何かを選ぶという場面では、どこでもセルフオーダーシステムは威力を発揮します。現在は、人手不足が大きな課題となっていますが、これを解決するために、飲食店以外にも活用の場を広げていきたいですね。例えば、病院や介護施設などで活用することで、廃棄食品を減らすことに貢献できるかもしれません(阿部取締役)」
人材不足、インバウンド需要の高まりなどを背景に、好調な業績を上げているワールドピーコム様。その技術は、飲食業界の壁を越え広がっていこうとしている。手厚いサポートや、自社開発の端末の導入、数々の特許などを背景した積極的な事業展開に、今後も注目が集まるに違いない。
ワールドピーコム株式会社
取締役 阿部氏
ワールドピーコム株式会社
SOTS事業本部 生産購買部
部長 堤氏